先日デミ・ムーア主演の『サブスタンス』を観てきました。
美と若さに価値を置く世の中に警鐘を鳴らす、ブレないテーマを通した力作でした。愚かで悲しい女を、実にシュールに描いた秀作ですね。周りから愛されるために頑張るのではなく、自分が自分を愛してあげなさい、というようなメッセージも感じ、意外と心が温まったりしました。
しかし本作は私にはなかなかハードなホラー映画でした。ホラー苦手な人にとっては、ちょっと厳しいかもしれません。私は後半のスプラッター系はもう非現実的なので観られたのですが、前半の医療系ホラーっていうんですかね、ちょっともう止めてと思いました(笑)針でブスッブスッ、パックリ開いた背中をグイグイ縫いつけたりみたいな(笑)帰りにトイレで鏡を見たら、やや顔色が悪くなってたので、やっぱり気分悪かったみたいです、アタシ(笑)
内容や設定が哲学的なところもあり、興味深く考えさせられ、ストーリーに引き込まれました。拒食症になるような子たちの心の中ってこんな感じなのかな、なんて思ったり…。長めの映画ですが、テンポの良い構成、シーン運びでダレた感じはありませんでした。脚本も良かったですね。
そしてデミ・ムーア。私の10代の頃の憧れの女優の一人。当時も思ってましたが、デミは演技が巧いです。今回も突拍子もない話のヒロインですが、抑えた演技が燻し銀のように光ってました。久々にデミ・ムーアをスクリーンで堪能しようと思ってたのですが、最後は、デミ・ムーアは何処へ?というくらいの変貌ぶりでして、もう少しまともなデミ・ムーアを観たかったです(笑)
そう、そしてラストシーンが逸品!シュールに着地成功で、巧い!と唸ってしまいました。ちょっと笑えるし。
映像&音響&音楽なんかは、デビット・リンチっぽくて好きな世界感でしたね。
50代の老いが見えてきた女性が若さを取り戻すために、アブナイ薬に手を出す話なのですが、よく考えると、その薬、ヒロインの望みを叶えられるようなもんじゃないよね?ヒロインがその薬に手を出すという設定に無理があるなんて思いました。でもとにかくそんな疑問も吹っ飛ばす勢いで話は進んでいきます。
それにしてもハンパないデミの壊れようとぶん抜けた騒ぎが、作り手の、若さと美に価値を置く世の中に対する怒りを感じ、胸に訴えるものがありました。意外と秀作。オススメです!
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