見習い騎手に思う〜仕事の適性Part1
2021/01/19 01:20

先日、調教師が自厩舎の見習い騎手に提訴される事件がありました。

頭部を殴打されたことに対する被害届とパワハラによる精神的苦痛の民事訴訟。

ネットではほぼ100%、調教師だけに非があるような意見ばかりで、正直私は驚きました。

暴力は勿論NGだけど、「頭部を殴打」が「げんこつゴツン」程度だったら?

いえ ダメよね…じゃあ「コン」「ツン」だったら?

実際に外傷の写真や診断書があれば認定されるでしょうが、落馬負傷で意識混濁していた時の本人のうわ言だそうですね。

難しそうです。

そしてパワハラ…これは民事ですがどうなるでしょうか。

大声で怒鳴られる

人前で恥をかかされる


…ええと、私はよく経験しましたが(笑)


夜勤の先輩から謂れのない叱責を受け、夜通しガミガミ怒られてるうちに眠くなり…

途中で欠伸を堪えるあまり目が潤んできて、やっと明け方4時に解放されたこともありました。

あとで聞いた話では、私を「あの子は陰で男遊びばかりしてるから、いつか泣くまで虐めてやる」と機会を狙っていたのだとか。

残念ながら当時私に男はおらず、1日10時間勉強していたのですが、欠伸の涙目を「反省したならもういい」と言われたのでした(笑)


まぁ女の世界ではよくあることです。


最近の職場ではそうですね。

これは男性上司ですが、なんか1人で怒って目の前でゴミ箱を蹴飛ばしてましたσ(^_^;)

ゴミ箱より本人の足が痛かったと思います。

昨日はもうすぐ勤務1年になる新人が 出勤直後にその日の担当を言われて白眼を剥いて痙攣し、倒れました。

CTと脳波を撮りましたが、結果は「ストレスによる緊張」でした。

コロナ禍ですからね



多分、業界により色んな慣習や風紀があるのでしょうが、騎手の世界は命と隣り合わせの世界です。

本当にパワハラだけだったのでしょうか?



ここで一つ、「命と隣り合わせ」繋がりで、医療界の話を例に挙げてみます。



O氏がかつて同じ組織で働いていた後輩K氏に、自分の息子を研修医として預けました。

O研修医は親戚みんな医療従事者だから、小さい頃から医師になるのが当然と育って来ました。

本当はサッカー選手になりたかったけど、親の手前なんとなく言い出せず、親と同じ道に進むことが一番なのだと自分に言い聞かせてここまで来ました。


国試に合格し現場へ出てみると、そこは想像とは全く違う世界でした。

O研修医は不器用でした。

口下手で患者と話すのも苦手、血も苦手です。

同期の研修医達はみんな意欲的に「俺はこんな医者になりたい」「こんなオペがしたい」と目標を掲げて進んで行きます。


O研修医もK氏の指導の元、患者を受け持ちオペにも入りました。


でも一向に進歩がありません。

半年が過ぎ1年が来ると、オペの最後の腹壁を閉じる簡単なところを任せてみましたが、O研修医が縫合すると、すぐに傷が離開して再縫合が必要になりました。

何度やってもミスをします。


当然、患者は担当させられません。

人形で練習しました。

人形では出来ました。


でも人間を相手にすると、その場の空気に呑まれるのか、判断は鈍り感覚がズレます。

「ああ また失敗した」

K氏は困りました。

「こいつ、医者に向いてない。でも先輩の手前 なんとかしないと」


叱咤激励が続きました。

時には思い余って手が出ることもありましたが、人の命がかかっている現場です。


「なんで出来ないんだ?さっきも言っただろーが。誰か死んでからでは遅いんだぞ


O研修医の処遇を心配して父親から何度か連絡とお願いがありましたが、K氏はどうすることも出来ませんでした。


数多くのオペをしてベッドの稼働率を上げること、トピックスを論文発表するために優秀な医局員に症例を積ませること、次期教授戦の為に誰をどう使うか…


K氏は医者であると同時に責任者です。

メーカーとの取引、学会、他大学との競争。

自分が上へ上がることが医局員達の将来にも影響します。

もはや昔のように純粋に医学だけに専念できる環境ではありませんでした。


ここではっきりO研修医の父親でありかつての先輩と、御子息の今後の方針についてじっくり話し合うべきだったのかもしれません。


しかし、大きな事故が起こってしまいました。


これをそのまま競馬界の話に置き換えてみてください。



2へ続く













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